「博士後期課程3年で、残念ながら博士号の取得が間に合いませんでした。論文が間に合わなかったのです。企業への内定は決まっていて、博士号は必須ではありません。社会人ドクターで再挑戦という選択肢もあると思っていますが、研究が好きかと言われると…実験は好きですが、論文を読むのは苦痛です。休みの日も研究のことを考えているような研究者を見て、自分には向いていないのではないか、博士課程に進学したことが間違いだったのではないかとも感じています。」このようなご相談をいただきました。博士課程修了を目指したものの、様々な思いを抱えている方、少なくないのではないでしょうか。一緒に考えていきましょう。
博士号取得率って、実際どのくらい?
まず、博士号の取得率についてですが、分野によって大きく異なります。分子生物学のような基礎研究分野では、3年でストレートに取得する方は、全体の20~30%程度ではないでしょうか。もちろん、研究の進捗や論文の執筆スピード、指導教員のサポートなど、様々な要因が影響します。あなたの研究テーマである蛋白質と核酸の相互作用は、確かに予想外のトラブルに見舞われやすい分野です。実験が思うように進まない、予期せぬ問題が発生する…そんな経験は、研究者なら誰しもが通る道です。「うまくいかないこと」も研究の一部だと捉えることも大切です。あなたの努力は決して無駄ではありません。
例えば、私が以前指導していた学生で、実験結果に何度も悩まされ、論文の締め切りに間に合わないと焦っていた学生がいました。彼は、何度も実験をやり直し、データの解釈に苦しみ、何度も先生に相談に来ました。それでも、彼は諦めずに研究を続け、最終的には素晴らしい論文を完成させました。彼の経験から、研究には時間と忍耐が必要だと痛感しました。そして、「うまくいかないこと」から学ぶことも多いということを学びました。
あなたのケースでは、残念ながら博士号取得には至らなかったものの、3年間も分子生物学の研究に携わってきた経験は、あなたの大きな財産です。企業で働く上で、その経験は必ず活きてくるはずです。研究で培った問題解決能力、緻密な実験スキル、そして粘り強さは、企業が求める人材にとって非常に魅力的なものです。
研究者に向いているって、どんな人?
次に、研究者に向いているかどうかの判断についてですが、「休みの日も研究のことを考えている」という点が、あなたを悩ませているようですね。わかります。研究者の中には、研究への情熱が強く、休日も研究のことを考えている人が多いのは事実です。しかし、それは研究者になるための必須条件ではありません。研究が好きで、実験が楽しい、という気持ちがあれば十分です。論文を読むのが好きかどうかは、必ずしも研究者としての成功を左右する要素ではありません。むしろ、チームで協力して研究を進める能力や、得られた結果を分かりやすく説明する能力の方が重要かもしれません。
私の友人で、ある製薬会社で研究開発に携わっている人がいます。彼は、実験は大好きですが、論文を読むのは苦手だと言っていました。それでも、彼はチームの中で重要な役割を担い、素晴らしい成果を上げています。彼は、自分の得意分野に集中し、苦手な部分はチームメンバーに協力してもらうことで、研究を成功させています。自分の強みと弱みを理解し、それを活かすことが大切です。
博士課程は、研究者になるための道の一つではありますが、唯一の道ではありません。あなたの場合は、企業で働きながら社会人ドクターとして再挑戦するという選択肢もあります。しかし、もし、あなたが研究以外の仕事に興味を持っているのなら、無理に研究者を目指さなくても良いのではないでしょうか。自分の本当にやりたいことを見つけることが、一番大切です。
企業で活かせる研究経験とは?
企業で働く上で、あなたの研究経験はどのように活かせるのでしょうか? 分子生物学、特に蛋白質と核酸の相互作用の研究で培ったスキルは、様々な分野で役立ちます。例えば、問題解決能力、分析力、実験技術、データ解析能力などは、どの企業でも高く評価されるスキルです。さらに、論文執筆を通して培われた文章力やコミュニケーション能力も、企業活動においては非常に重要です。これらのスキルは、研究者だけでなく、幅広い職種で活躍できる土台となります。
また、博士課程で研究を続ける中で、計画性、忍耐力、そして困難を乗り越える力を身につけているはずです。これらの能力は、企業におけるプロジェクト遂行や、キャリアアップにおいても大きな武器となります。博士課程での経験は、必ずあなたの将来のキャリアに役立ちます。就職活動では、これらの経験を積極的にアピールしましょう。もし、あなたの就職活動に不安があれば、中小企業への就職支援に特化した機関も存在します。彼らは、野球に理解のある企業との連携も積極的に行っているので、あなたのキャリアパスを考える上で、相談してみるのも良いかもしれません。
あなたの経験は、決して無駄ではありません。 博士号を取得できなかったことは残念ですが、その経験を活かして、新たなキャリアを築いていけるはずです。自信を持って、未来に向かって進んでいきましょう。