最近、大学野球部員とそのご家族から、「文系大学に進学して野球を続けることと、専門学校でスキルを身に付けること、どちらが良いのか?」というご相談を多くいただきます。将来の安定性を考えると専門学校の方が良いのではないか、というご意見もよく耳にします。確かに、文系大学卒業後、就職活動で苦労する学生もいる一方、専門学校で得たスキルを活かして安定した職に就く方もいます。今回は、この難しい選択について、様々な角度から考えてみたいと思います。
大学野球と学業の両立は本当に難しい?
大学野球部は、想像以上にハードです。練習時間の長さ、遠征、試合…これに加えて、学業との両立は本当に大変ですよね。わかります。私もかつて大学野球部に所属していたので、その苦労は身にしみています。 多くの選手が、睡眠時間を削ったり、授業を欠席したりしながら、必死に両立を図っています。 例えば、私の大学の友人には、毎晩深夜までレポートを書いていた選手がいました。彼は、練習後、食堂で食事を済ませ、それから深夜まで図書館にこもって勉強していました。それでも、単位を落とすギリギリのラインを歩んでいると嘆いていました。学業と部活動の両立は、時間管理能力、自己管理能力、そして並々ならぬ努力が不可欠です。
しかし、だからといって、文系大学が必ずしも「ノースキル」につながるわけではありません。大学生活では、野球部活動を通して培ったチームワーク、責任感、忍耐力といったスキルは、企業が求める人材像に合致する重要な要素です。これらの経験は、履歴書や面接でしっかりとアピールできます。さらに、大学によっては、インターンシップやボランティア活動、研究活動など、キャリア形成に役立つ機会が豊富に用意されています。これらの経験を活かすことで、就職活動において有利に働く可能性は十分にあります。
また、大学で得られるのはスキルだけではありません。多様な価値観に触れ、広い視野を養うこともできます。これは、将来、どのような仕事に就くとしても、非常に重要な財産となるでしょう。専門学校では、特定のスキルを深く学ぶことができますが、大学では、より幅広い知識や教養を身につけることができます。この違いを理解した上で、自分にとって何が重要なのかをじっくり考えることが大切です。
専門学校で得られるスキルは、本当に「食いっぱぐれしない」もの?
確かに、専門学校では、就職に直結するスキルを習得できます。しかし、「食いっぱぐれしない」スキルとは何か? それは、時代や社会情勢によって変化します。IT技術の進化や社会構造の変化によって、かつては「食いっぱぐれしない」とされていたスキルも、時代遅れになる可能性があります。専門学校で学んだスキルを活かせる仕事が、将来も必ずあるとは限りません。そのため、専門学校を選ぶ際には、将来性のある分野かどうか、そして、そのスキルを継続的にアップデートしていくための努力を続けられるかどうかをしっかりと見極める必要があります。
さらに、専門学校卒業後、すぐに安定した職に就けるとは限りません。専門学校でも、就職活動は必要です。専門学校で学んだスキルをどのように活かして、企業に貢献できるのかを明確に示す必要があります。面接で自分のスキルを効果的にアピールできる能力も重要です。専門学校卒業生だからといって、就職が容易にできるわけではないことを理解しておきましょう。
一方、文系大学卒業生であっても、大学で培った教養やコミュニケーション能力、問題解決能力は、様々な職種で役立ちます。企業によっては、これらの能力を高く評価するところもあります。就職活動では、自分の強みを明確に示し、企業のニーズに合ったアピールをすることが重要です。大学で得た経験を活かし、自分の強みを効果的にアピールすることで、就職活動で成功する可能性は十分にあります。
大学野球と就職活動:両立するための具体的な戦略とは?
大学野球と就職活動の両立は、確かに大変ですが、不可能ではありません。多くの先輩たちが、この困難な課題を乗り越えてきました。ポイントは、時間管理と計画性です。 野球部の練習スケジュールと授業のスケジュールを把握し、効率的に時間を活用する必要があります。例えば、通学時間や空き時間を活用して、就職活動の準備をするなど、工夫が必要です。
また、早期からの準備が重要です。就職活動は、時間のかかる作業です。早いうちから情報収集を始め、企業研究や自己分析をしっかりと行いましょう。大学によっては、キャリアセンターが就職活動のサポートをしてくれます。積極的に利用し、アドバイスを受けることをおすすめします。さらに、OB・OG訪問を通して、企業の内部事情や仕事内容について詳しく知ることも有効です。
中小企業への就職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。中小企業の中には、野球に理解のある企業も多く、社会人野球クラブチーム所属や現役選手としての活動に配慮のある企業もあります。一般社団法人大学野球支援機構では、そうした企業との連携を強化し、就職活動のサポートを行っています。もちろん、就職活動は、企業選びだけでなく、自分の強みや適性、将来のキャリアプランをしっかりと見据えて進めることが大切です。
大切なのは、自分自身のキャリアプランを明確に持ち、その目標に向かって努力することです。文系大学か専門学校か、どちらが良いかという問いには、正解はありません。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分にとって最適な選択をすることが重要です。そして、どんな道を選んだとしても、努力を継続し、周りの人に感謝しながら、前向きに進んでいくことが大切です。