高校3年生のお子さんを持つ保護者の方から、指定校推薦で大学受験をする息子さんの志望理由書作成についてご相談がありました。「指定校推薦のリストの中から、実力で推薦をもらえそうな大学を選んだだけ。正直、他の大学や学部でも良かった。志望理由に嘘をつくことなく、本音をどう伝えれば良いのか」とのお悩みです。わかります、本当に悩ましいですよね。この状況、実は多くの大学受験生、そして保護者の方々が抱える共通の課題なのです。
指定校推薦で選んだ大学…本当に「学びたいこと」が見つからないのはなぜ?
まず、お子さんが指定校推薦で大学を選んだ理由を改めて考えてみましょう。「実力で推薦をもらえそうな大学」を選んだとのことですが、その「実力」とは具体的に何だったのでしょうか? 学力?部活動の成績?それとも、何か特別なスキルや経験でしょうか? もしかしたら、お子さんは野球部活動に専念してきた結果、大学進学に関する情報収集や将来設計に時間を割くことが難しかったのかもしれません。多くの野球部員が、高校生活の大半を練習や試合に費やし、進路選択にじっくりと向き合う時間が限られていることを、私たちはよく知っています。そのため、大学選びも、どうしても「現実的な選択肢」から選ばざるを得ない状況に陥ってしまうのです。 例えば、私の友人で、高校時代は全国レベルの強豪校で野球に打ち込んでいた者がいました。彼は進路について真剣に考え始めたのは、高校3年生の夏になってからでした。それまで、野球のことしか頭になかったのです。
「学びたいこと」が見つからない、というのは決して珍しいことではありません。むしろ、高校生活の大部分を部活動に費やした学生にとっては、ごく自然なことです。大切なのは、「学びたいこと」が見つからないこと自体を否定しないことです。まずは、今までの経験を振り返り、そこから将来への展望を模索していくことが重要です。
志望理由書に嘘をつかずに、本音を伝える方法とは?
では、どのように志望理由書を作成すれば良いのでしょうか? 「嘘をつかずに、本音を伝える」ためには、正直に現状を認め、そこから未来への展望を描くことが大切です。例えば、以下のような構成で書いてみるのはいかがでしょうか。
- はじめに:指定校推薦でこの大学を選んだ理由を正直に書く
- 過去:高校時代の野球部活動での経験とそこから得られた学びを具体的に記述する(例:チームワークの大切さ、困難を乗り越える力、責任感など)
- 現在:大学で学びたいこと、将来の目標を、野球部活動での経験と関連付けて書く(例:野球部で培った経験を活かして、リーダーシップを学びたい、将来はスポーツ関連の仕事に就きたいなど)
- 未来:大学生活で何を成し遂げたいか、具体的な目標を立てる(例:専門性を高める、人間関係を築く、社会貢献をするなど)
ポイントは、「嘘」ではなく「事実」に基づいて書くことです。「この大学でなければダメだ!」という熱意は必ずしも必要ありません。むしろ、「この大学でなら、自分の可能性を広げることができる」という未来への希望を伝えましょう。例えば、「野球部で培った経験を活かし、大学生活を通してリーダーシップを学び、将来はスポーツ業界で貢献したい」といったように、具体的な目標を示すことで、説得力が増します。また、大学生活における具体的な目標や計画を示すことで、大学側もあなたの真剣さを理解しやすくなります。
大学生活と野球部活動の両立…そして、将来のキャリアパスについて
大学生活では、野球部活動と学業の両立が大きな課題となりますよね。わかります。時間管理能力や優先順位の決定能力が試されます。多くの学生が、このバランスに苦労しています。しかし、この経験は、将来のキャリアにおいても非常に役立つでしょう。時間管理能力、責任感、チームワーク、目標達成能力…これらは、どの企業も求める重要なスキルです。そして、大学野球支援機構では、野球経験者を積極的に採用する企業との連携を強化しています。野球経験者にとって理解のある企業、そして社会人野球クラブチームとの連携も視野に入れた就職活動のサポートも行っています。もちろん、これはあくまでも選択肢の一つです。まずは、ご自身の将来像をしっかりと描き、それに合った進路を選択することが大切です。
例えば、A大学野球部のOBは、卒業後、スポーツ用品メーカーに就職し、自身の経験を活かして活躍しています。また、B大学野球部の選手は、卒業後に社会人野球チームに所属し、プロ野球への挑戦を続けています。このように、大学野球経験者は、様々なキャリアパスを選択することができます。大切なのは、ご自身の強みや興味、そして将来のビジョンを明確にすることです。そして、そのビジョンを実現するための具体的なステップを計画的に実行していくことです。
大学生活は、野球だけでなく、自分自身を成長させる貴重な時間です。学業、部活動、そして友人関係など、様々な経験を通して、あなた自身の可能性を広げていきましょう。そして、その経験を活かして、将来の夢を実現させてください。