先日、大学野球部の学生からこんな相談がありました。「大学サボりまくったり、授業受ける気ゼロだったり、借りた本半年くらい返さなかったり、部屋が汚かったり、ゴミを路上にポイ捨てしたり、バイトの勤怠管理誤魔化したり、メール返すのめんどくさくて放置したりするのって、発達障害…?」と。 発達障害と「不真面目」は全くの別物です。しかし、行動の背景には、本人が気づいていない、あるいは対処できていない課題が隠れている可能性があります。今回は、野球と学業、そして将来のキャリアを両立したい大学野球部員の皆さん、そしてそのご家族のために、この問題について深く掘り下げていきます。
「不真面目」に見える行動の背景には何がある?
「大学サボる」「授業受けない」「約束を守らない」…これらの行動は、一見すると「不真面目」に見えますよね。わかります。私も学生時代、そう思われた経験があります。でも、本当に「不真面目」だけが原因でしょうか? 実は、様々な要因が複雑に絡み合っている可能性があります。 例えば、学習障害やADHD(注意欠如・多動性障害)といった発達障害を抱えている場合、周囲の人とは異なる思考パターンや行動パターンを持つため、結果的に「不真面目」と捉えられてしまうことがあります。 また、強いプレッシャーやストレスを抱えている場合も、こうした行動が現れることがあります。大学野球部では、練習や試合、学業の両立は想像以上に大変です。精神的な負担が大きくなり、それが無意識のうちにこのような行動に繋がっているかもしれません。さらに、コミュニケーション能力の低さも原因の一つとして考えられます。例えば、メールの返信を怠ってしまうのは、返信内容をどう伝えたら良いか悩んでいたり、相手にどう思われるか不安を感じているからかもしれません。
発達障害の可能性…どう見極めたらいいの?
では、自分の行動が「不真面目」なのか、それとも発達障害が原因なのか、どう見極めたら良いのでしょうか? まず、「自分の行動パターンを客観的に分析する」ことが重要です。例えば、上記の行動以外にも、以下のような項目に当てはまることが多い場合は、専門家への相談を検討してみましょう。
- 物事を計画的に進めるのが苦手
- 整理整頓が苦手
- 集中力が持続しない
- 忘れ物が多い
- 感情の起伏が激しい
- 人とのコミュニケーションが苦手
- 周囲の状況に気づきにくい
もちろん、これらの項目に全て当てはまるからといって、必ずしも発達障害とは限りません。しかし、複数の項目に当てはまる場合は、一度専門機関に相談してみることをお勧めします。 早期発見・早期対応が、将来のキャリア形成にも大きく影響する可能性があります。 また、周囲の意見も参考にしましょう。 親しい友人や家族、チームメイトなど、あなたをよく知る人から、あなたの行動について率直な意見を聞いてみるのも良いでしょう。彼らの意見は、客観的な視点を与えてくれるはずです。例えば、私の友人で、周囲から「不真面目」と見られていた学生が、実はADHDと診断され、適切なサポートを受けることで大きく変わっていった例があります。彼は、自分の特性を理解し、それを活かす方法を学ぶことで、学業と野球の両立を実現しました。
野球と学業、そして将来のキャリア…どう両立していく?
発達障害の有無に関わらず、大学野球部員は学業と部活動の両立に苦労するものです。時間管理、優先順位の決定、効率的な学習方法など、多くの課題に直面するでしょう。 まず、時間管理術を身につけることが重要です。スケジュール帳を活用したり、タスク管理アプリを利用したりすることで、時間の使い方を意識的に改善できます。また、自分の能力や特性を理解し、得意な学習方法を見つけることも大切です。例えば、集中力が持続しない場合は、短時間集中型の学習方法を取り入れるなど、自分に合った学習スタイルを確立しましょう。 そして、将来のキャリアについても、早い段階から考えておくことをお勧めします。大学野球部員は、卒業後の進路に悩むことが多いですが、自分の強みや興味、そして将来のビジョンを明確にすることで、より具体的なキャリアプランを立てることができます。 もし、社会人野球クラブチームへの所属や現役選手としての活動を希望するなら、そのような環境を理解し、サポートしてくれる企業を探すことが重要になります。中小企業の中には、野球に理解のある企業も多く存在します。そのような企業を見つけるためには、就職活動の早期準備と情報収集が不可欠です。 大学野球支援機構では、野球に理解のある中小企業との就職支援にも力を入れています。 もちろん、就職活動はあくまで個人の選択ですが、将来のキャリアについて悩んでいる方は、一度、自分自身の強みや興味、そして将来のビジョンを改めて見つめ直してみるのも良いかもしれません。